『桶川ストーカー殺人事件―遺言』新潮文庫

最近ではめずらしく、一気に読了した本。

「お巡りさんって信じてはいけないの?」――とても悲しい、でもおそらく心にとめておかなければいけない疑問が残った。本や新聞に書かれていることや、テレビのニュースで流されていることを真実だと信じていた子供の頃を思い出した。

個人的には警察にいやな印象は持っていない。どちらかというと、いい思い出しかない。

小学校の頃、通学路にあった交番でよく見かけたやさしいお巡りさんのこと、数年前、以前あった花屋さんがどれも姿を消していて、お墓参り用の花を用意できなくて困っていた時助けてくれた交番のお巡りさんのことなど、今思い出しても暖かい気持ちになる。

あ、今、思い出した。車を運転していた友人がスクーターと衝突したあと、警察署に付き添った時には少しいやな思いをした。うん、あれはちょっといやだったな……。

本書に描かれた警察はおそろしい。

「警察官も所詮サラリーマンだ」というような言葉が書かれていた(正確な言葉は覚えていない)が、確かにその通りなのだろう。でも、「私たちを守ってくれる」という期待もしてはいけないのかと思うと、悲しいし、おそろしい。

警察とか消防、自衛隊とか病院などなど、なんとな~く「私たちを守ってくれる」ような気がしている機関・団体に属している人たちには、いつも感謝しているのだけれど、それも私が抱いてる幻想にすぎないのかと考えさせられる一冊だった。

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