古琴曲『普安咒』

だいぶ前に習った曲だが、いくつかの理由でよく覚えている。一つははじめて習った「かなり長い曲」だったため。それから、呪文という意味の「咒」の字が使われていたため。実際は「呪文」というより「念仏」の意味だったが、すごく印象的だった。

実際に「普安咒」というお経があって、それをもとに作られた曲(明の時代という説あり)だとか、そのお経の唱え方を学ぶために作られた曲だ(琴譜の横に書かれていた梵字がそのような意味だったらしい)とか、このお経を作った普安禅師(1115-1169)というお坊さんが作った曲だとか、いろいろな説があるようだ。

このお経を聴いてみると結構すごい。何がすごいかと言うと、下のビデオで1:15あたりから始まる、同じ音の繰り返しの心地よさ。古琴曲とはまったく違う「メロディー」だけれど、思わず唱和したくなる。

大先生、張子謙さんの笛との合奏でお聴きください。

 

折り紙寿司一人前の作り方

前に折り紙でお寿司一人前を作って、それをブログで取り上げた。その時、軍艦巻きを一枚の折り紙(寿司ネタは別)で折る方法を思いついたので、それをいつか動画で紹介したいなあ……と思っていた。最近やっと仕事がひと段落ついたので、動画を作ってみた。視力減退が激しく長時間続けて動画編集ができないので、何日もかかかったけれど、なんとかまとまったのでアップすることにした。(軍艦巻きは16’00あたりから)

(スタートボタンを押した後、すぐに動画が始まらなかったら、YouTubeボタンを押してみてください。)

折り方は動画を見てもらうことにして、ちょっと動画アップにまつわるお話。

まず、今回はアフレコをやめてみた。何度もやりなおしたりして、時間がかかりすぎるし、編集要素が増えすぎる。で、その代わり、字幕を時々入れることにした。この方式で少しやってみようと思う。

それから、一つアクシデントがあった。実は動画が長すぎて、はじめYouTubeにアップできなかった。「本人確認」というのをやればいいとウェブに書いてあったので、それをやったのだけれど、短い動画の場合のようにiPhone(iMovie)からは直接アップできなくて、一度「フォトアルバム」に保存しないとだめだった。そのために「圧縮」が必要だったから? それとも単に動画が長すぎた?(文系シニア女子の管理人にはさっぱりわからない) 理由はともかく、保存するだけで猛烈に長い時間がかかった。次回からは動画は15分以内におさめるようにしよう!

古琴曲『关山月』

今よく弾かれる古琴曲『关山月』は山東地方に伝わっていた民謡をもとに作られたと言われている。1931年に刊行された『梅庵琴谱』に、同名の李白の詩が付いた琴譜がある。

下のYouTube動画では一回目は古琴独奏、二回目が弾き語りとなっています。

比較的短い曲なので初心者レベルに位置付けられている楽譜集もあるが、簡単に弾けるかというとそうはいかない。特に、右手三本指をパラパラッと広げて弾く「轮」という奏法が多用されていて、その音をきちんと出すのが(当サイト管理人には)至難のわざ! さらに、李白の詩を歌いながら、本来の形で弾いてみたいなどという「野望」を持つと、完全に挫折する。でも、古琴の楽しみ方の一つである「琴唱」(弾き語り)を試してみるには最適だと思う。

李白の詩の意味はだいたい次のようではないかと思います。(管理人は現在中国語修業中)

明るい月が山の上にのぼり
藍色の雲海を照らす
風は遥か彼方からやってきて
玉門関に吹き付ける
漢の軍勢は白登山の道を進み
胡の兵は青海で様子をうかがう
ここは昔からの出征の地
戻ってきた者は見たことがない
兵たちは辺境の景色をながめ
望郷のあまり顔をゆがめる
こんな夜には高殿に
嘆息が途切れることがないだろう

(20210601)弾き語りの「野望」実現のために、歌の練習用に、歌詞を字幕につけた動画を作りました。よかったらご覧ください。(少し音が大きすぎたので、ボリュームにご注意ください。)

 

 

古琴曲『渔樵问答』

一般に中国古典十大名曲と呼ばれる曲の一つ。この十大名曲のうち当ウェブサイト管理人がこれまでに習ったのは、この曲のほかに『平沙落雁』『流水』『梅花三弄』の三曲。古琴曲ではあとかの有名な(!?)『广陵散』があるが、これはおそらくあと十年修業しないと手を付けることができないと思うので、ちょっと間に合いそうにない。

この曲の楽譜が最初に見えるのは明代に編集された楽譜集の中なので、その頃に作られたと考えられる。タイトルの通り、漁夫と樵(きこり)の対話がテーマ。昔の中国の多くの文人たちの理想は、自然の中で魚を採ったり木を切ったりして静かに暮らすことだったから、この曲は一つの理想を描いたものとも言える。実際、同じテーマで詩や絵もよく描かれている。

このビデオの中で演奏していらっしゃる龚一老师は、YouTube上で「古琴講座」をしていらっしゃる。中国語なので解説は95%理解不能なのだけれど、弾き方を見るのはとても勉強になる。この曲には30種類以上異なる楽譜があるそうだが、ここで使われているのは『琴学入門』にある、吴景略老师の演奏に基づいた楽譜。そのご本人の演奏もお聴きください。

古琴曲『忆故人』

この曲は『山中思友人』、『空山憶故人』などと呼ばれることもある。なんと、後漢末期の儒家、書家であり古琴の名手であった蔡邕(さいよう)の作という言い伝えがある。そうなると、1800年以上前に作られたことになる! 今一般に弾かれているのは1937年刊行の『今虞琴刊』という本に掲載された楽譜に基づいたもの。

この曲名の中の「故人」という言葉は、日本語のように「亡くなった人」の意味ではなく、長い間会っていない親しい友人という意味。月明りに照らされた山中を歩きまわりながら懐かしい友を思う気持ちが込められている曲だ。大好きな成公亮老师の演奏のものは、当ウェブサイト管理人には深い悲しみに満ちているように聴こえる。動画のサイトはリンクが貼れなかったので、音だけをお聴きください。

管理人は弾いているとどんどん悲しくなるのだけれど、先生に「悲しくなりすぎ」と言われた。そして論語の「乐而不淫 哀而不伤」という言葉を教えられた。「楽しんでも正を失わず、深く憂えても和を害さない」という意味らしい。平穏な心で弾けたらいいな!

イレコミ君ではじめての開封動画?

「イレコミ君」ではじめて「開封動画」を作ってみた!

実は最近、「にわか横浜(ベイスターズ)ファン」になっている。野球は基本的なルールがかろうじてわかる、数少ないスポーツの一つだが、ともかくスポーツを観戦して応援するという習慣が管理人にはない。でも、最近、古くからベイスターズファンのMちゃんに続いて、Kちゃんまでもがファンになって、毎日の結果を聞かされているうちに、観てみるかな?と思った。

今月はじめの「交流戦」から見始めたのだけれど、その頃セリーグで同率3位でがんばっていたベイスターズが今は単独2位。まだまだ先が長い(どれくらい長いのかは不明)からここで喜んでいてはいけないらしいが、毎日の勝ち負けに一喜一憂している。

で、一昨日Kちゃんちに遊びに行ったら、ちゃっかりベイスターズグッズを手に入れていて、その中で「イレコミ君」というのをくれた! Mちゃんに聞いたら復刻グッズらしく、仕掛けはごく簡単。電池もつかわない「手動」で顔が四変化する。いいじゃない! こういうレトロなグッズ!

 

古琴曲『桃园春晓』

6月に練習を始めた『醉渔唱晚』にまだ手こずっている。ただ「レーミーレ」と弾くだけなのに、ごくはじめのところに出てくる、おそらく舟の櫓をこぐ感じ(?)の繰り返し箇所がうまく弾けない。とても大事な箇所だと思うのに!

で、半分あきらめて、常に課題となっている「既習曲の復習」を始めた。そのうちの一つが、だいぶ前に習った『桃园春晓』。大好きな成公亮老师が打譜・記譜なさったもので練習させていただいた。彼の演奏も大好き。心がやわらぐ。

この曲は、タイトルからも想像されるように、東晋末期の詩人、陶淵明の有名な詩『桃花源記』に描かれた世界を題材としている。詩の内容は――あるとき漁夫が道に迷い、人里離れた村に迷い込んだ。そこには秦の時代に世俗から逃れた人々が、外界との接触を断って平和な日々を送っていた。漁夫は太守に知らせようと、道すがら印をつけながら戻ったが、その村を再び見つけることはできなかった――といった感じ。これがユートピアを表す「桃源郷」という言葉の由来となった。

古琴曲も「泛音」と呼ばれるハーモニックスが多用されていて、静かですがすがしい空気感が満ち溢れている。この曲を成公亮老师の演奏に合わせて練習したら、俗世界の苦しみを忘れられるだろうか?

ラズベリーパイという名のコンピュータ

ラズベリーパイ公式サイトでまず実物の写真を!

知る人ぞ知る「コンピュータ」らしいが、最近Kちゃんがはまっている小型コンピュータが何だかすごい。ラズベリーパイというかわいい名前のこのコンピュータ、何がすごいって、ミニチュア好きの管理人にとってはたまらない手の平サイズ!

今どきのラップトップは小型だから、中身はこれと同サイズとかもっと小さいのだろうけれど(文系管理人にはその辺はよくわからない)、基盤むき出しで、ここが何、このソケット(?)が何につながる(「何」部分が何かは名前を聞いてもよくわからないのだが)……といった具合に、コンピュータの「中身が全部見える!」。だから、子供たちのコンピュータ学習用にもよく使われているらしい。

「小学生にわかるなら、70のおばあさんにもわかるはず……」と、いつもの短絡思考で、ウェブ上でいろいろ読んでみたが、結果、小学生と70のおばあさんは脳内コンピュータのバージョン、処理速度がまったく異なることを再認識させられただけに終わった。

でも、でもぉ~これかわいくないですか? Kちゃんがラズベリーパイでちゃちゃちゃっと作ったミニコンピュータ。


何がかわいいって、このディスプレイ、たったの7インチ! キーボードも手のひらサイズ! これでコンピュータの機能満載! ま、iPhone のほうが全然ちいさいじゃん、と言われればそれまでなのだけれど。

……なんでこんなに興奮するのかよくわからないけれど、たぶんミニチュア好きと、「ブラックボックスの正体が知りたい」欲がすごく刺激されるのだろうと思う。惜しむらくは、老眼で白内障、飛蚊症ブンブンの眼ではかなりきびしいフォントサイズであること……嗚呼!

クイーンとエルトン・ジョンのマネジャー

エルトン・ジョンの半生記を描いた映画『ロケットマン』を観た。彼の歌を織り込んだミュージカル風の映画だったので、個人的にはちょっと苦手だった。でも、映画の中に出てきた悪徳マネジャーが、なんだかクイーンのフレディ・マーキュリーを堕落させた(ように『ボヘミアン・ラプソディ―』に描かれていた)マネジャーと同じ印象だったので、インターネットでちょっと調べてみた。

そうしたら、そのマネジャー(ポール・プレンター)とは違ったのだけれど、別の時期のマネジャーで、フレディにソロ活動を勧めて断られ、けんか別れをした(と映画では描かれていたが実はそういう事実はなく、友好的な別れ方をした)マネジャーと、エルトン・ジョンの悪徳マネジャーとが同一人物だったことがわかった!

ジョン・リードという名前のその人は1970年からエルトン・ジョンの恋人で、1973年から1998年までマネジャーをしていたが、同じ時期、1975年から1978年まではクイーンのマネジャーもしていた。その間にクイーンは大きな成功を納め、エルトン・ジョンはそれが気に入らなくて、クイーンがマネジャーを変えた一因はそのあたりにもあったと書いてある記事もあった。

いずれにせよ、世界の音楽界を揺るがせていたアーチストたちのマネジメントを同時にやるなどという人間は「凄腕」には違いない。でも、多くのインターネット情報で知らされているように、エルトン・ジョンにとっては本当に悪徳マネジャーで、結局は彼のお金を使いまくっていたことがバレて裁判沙汰となり、高額の賠償金を払っている。つまり、実際には、『ロケットマン』にあった捨て台詞のように「おまえが何と言おうと、おれはおまえの儲けから永遠に20%もらい続けるんだからな」とはならなかったということらしい。

ジョン・リードは現在はオーストラリアあるいはイギリスに住んでいると言われているが(行方不明という記事もあり)、どちらの映画に関しても何のクレームもコメントもなかったらしい。

以上、Rocketman:Why Elton John’s Manager Was So Different In Bohemian Rhapsodyという英文記事を主に参考にして書かせてもらった。

 

『生き方』サンマーク出版

日本を代表する大企業、京セラ、KDDIの創業者にして、日本航空の会長も務めた企業人、稲盛和夫さんが書いた「生き方」。「ビジネスマン」嫌いの管理人がなぜこんな本を買ったかというと、本屋さんでパラパラとめくった時、最初に目に入ったのが次の一節だったから。「嘘をついてはいけない、人に迷惑をかけてはいけない、正直であれ、欲張ってはならない、自分のことばかりを考えてはならないなど、だれもが子どものころ、親や先生から教わったーーそして大人になるにつれて忘れてしまうーー単純な規範……」この一節を読んで、「まったく同感!」と思うと同時に、こんなことを堂々と本に書ける人ってどんな人だろうと興味がわいた。

出家をしているという稲盛さんの言葉。「ん?」と思った箇所もなかったわけではないけれど、あちこちに珠玉の言葉がちりばめられていて、本は付箋だらけになった。凡人にはとても届かない高みにいる人なのかもしれないけれど、それでも、生まれた時より少しでも「まし」な人間で死ぬことが人間に与えられた役目である、という彼の考えに従えば、まだ自分にも希望があるのかもしれないと思う。