about guqinー中国最古の撥弦楽器「古琴」

古琴(現代中国語読み gu3qin2 グーチン)は、日本では七弦琴、琴(キン)のこと、あるいは単に琴(キン)、などと呼ばれています。中国最古の撥弦楽器(はつげんがっき:弦をはじいて音を出す楽器)と言われ、孔子(BC551-BC479)が編纂したとされる『詩経』に収められた詩の中にすでに登場します。日本ではあまりなじみのない楽器ですが、遣唐使の時代に日本に伝来したと言われています。中国や日本で、文人のたしなみとされている「琴棋書画」の「琴」は古琴のことです(音楽全般と示すという説もあり)。そのあと、囲碁、書道、絵画と続きます。

古琴ってどんな楽器?

長さは130cmほどで幅は20㎝あまり、中空の木製の楽器です。七本の弦は昔は絹糸で作られていましたが、今は主にスチールとナイロンを使った弦が用いられています。日本のお箏(こと)のような琴柱(ことじ)はなく、ギターのようなフレットもありません。弦に沿ってつけられた13個の印を目印に左手の指で弦を押さえて音程を変え、右手の小指をのぞく4本の指で弦を弾きます。

古琴の楽譜ってどんなふうになっているの?

唐代以前の「琴譜」は文章で弾き方を示す形の「文字譜」でしたが、その後、漢字を簡略化した、「減字譜」と呼ばれる独特の記譜方法が使われるようになりました。現在は一般に、1~7の数字で音階を表す数字譜や五線紙を使った楽譜と共に、この減字譜が使われています。(下の減字譜の読み方は20191130のブログでどうぞ。)

中国音楽の代表

1977年に打ち上げられた地球外知的生命探査機、ボイジャー探査機に載せられた「ゴールデンレコード」には、いくつかの国を代表する音楽が収録されていますが、中国を代表する曲として、古琴の名手、菅平湖さんが演奏する古琴曲『流水』が納められています。また、2009年にはユネスコの無形文化遺産として正式登録されています。

ちなみに、ゴールデンレコードに日本の音楽の中から選ばれて収録されたのは、『鶴の巣籠(ごもり)』という尺八の曲だそうです。いつか遠い将来、このレコードを、はるかかなたのどこかで地球外生命体(宇宙人!)が聴いたら、いったいどんなことを感じるのでしょうか?

ちょっと脱線しますが、このボイジャーに積まれた日本の曲は、人間国宝の尺八奏者、山口五郎さんの『巣鶴鈴慕(そかくれいぼ)』という曲だそうです。おそらく「短いバージョン」だと思いますが、動画を見つけたのでぜひごらんください。

古琴にまつわるエピソード

古琴にまつわるエピソードは数多く、そこから生まれた故事成語も少なくありません。その中には、日本でおなじみのものもあります。お互いを深く理解しあった友人関係を表す「知音」という言葉もその一つです。

古琴を初めて作ったと言われるのは、神話時代の伏羲(ふっき)や神農(しんのう)です。伏羲は身体が蛇、首から上が人という姿(諸説あり)で、人間に魚や獣を採ることを教えたといわれています。神農は「牛頭人身」で、医薬の祖ともいわれています。こういった伝説を信じると、古琴の歴史は一挙に何千年も昔にさかのぼりますが、ま、これはあくまで神話の話ということで。

・前9世紀から前7世紀にかけての詩を集め、周の時代(BC1100-BC770)に作られた、前述の中国最古の詩集『詩経』に古琴が登場します。結婚相手にふさわしい淑女は古琴を友とする、あるいは古琴を使ってもてなす、といった内容の節が含まれるこの詩は、婚礼のときの祝い唄として歌われていたと言われています。その詩を古典的なスタイルで歌っているビデオをごらんください。ちなみに、歌い手の正面に置かれているのが古琴です。

・先ほども言ったように、よき理解者たる友人のことを表す「知音」という言葉の由来は古琴にあります。いまから2500年ほど昔の春秋時代、ある琴の名人は、自分の琴の音を理解してくれていた友が亡くなったとき、もう自分の琴を本当に理解してくれる人がいなくなったと嘆き、琴の弦を切って、二度と弾かなかったそうです。

古琴独奏と琴歌

古琴の演奏方法としては独奏、合奏、弾き語りがありますが、一番ポピュラーなのは独奏だと思います。でも、弾いていると、思わず口ずさみたくなる歌詞がついている曲が何曲もあります。『陽関三畳』もその一つ。元となっている詩は七世紀の唐の詩人王維の惜別の詩『送元二使安西(元二の安西に使いするを送る)』で、それに後世の人が歌詞をつけ足して琴歌としたものと考えられています。この曲を、独奏と弾き語りで聴き比べてみてください。

王維の詩の後半は、こう歌っています――「さあ、友よ、もう一杯酒を飲み干したまえ。この関所を出てしまったら、もう一人の友もいない西域の地なのだから」。

今に伝わる古典的古琴曲は3000を超えるとも言われています。そのほんの一部、30曲ほどについては、当ウェブ管理人が習った曲を集めた常設記事「六十の手習い古琴曲集」で簡単に紹介しています。よかったらご覧ください。

シンガポールで古琴を習う

シンガポールで古琴が習える場所、買える場所、レッスンにかかる費用などについてはFAQに取り上げてあります。どうか参考になさってください。

日本で古琴を習う

当ウェブサイト管理人は現在シンガポール在住なので、日本の情報はウェブで調べるしかありませんが、このページを読んでくださる方は日本にいらっしゃる方が大部分であることに最近気づき、一言付け加えておこうと思い立ちました。

今サーチ(検索キーワード「古琴 教室」)をしたところ、現在、日本では東京(二か所)、横浜、京都、大阪、名古屋(各一か所)に古琴教室があるようです。(そのほかにもあると思いますが、ウェブでは探せませんでした。)

まだ日本ではあまり知られていない楽器なのですね……。もっとも、中華系の人が80パーセントを占める当地でも、「古琴を練習している」というと、日本の箏に似た古箏に間違えられる(中国語を正確に発音できないことが最大の問題だとは思いますが!)ので、当然と言えば当然ですね。でも、古琴ファンとしてはちょっとさびしい……。平安の時代から伝わるこの伝統楽器のファンが一人でも増えますように!

個人的経験をお話しすると、当ウェブサイトの管理人は、「春風秋月」というお店から古琴を置く机と楽譜をネットで購入したことがあります(古琴教室もあるようです)。とても対応がていねいで気持ちのよい買い物ができました。次回上京の折はお店に行ってみたいと思っています。

日本で古琴を買う

ウェブでサーチするといくつか出てきます(アマゾンの初心者キット、ヤフオクの中古品などもあり)が、実際に弾いてみて買いたい時は、上記の春風秋月か、中国屋楽器店さん(両店とも東京)でしょうか? 当ウェブ管理人は、Sounf of Mountain(山の音)という、おそらく中国発の通信販売サイトで、6万円くらいのものを買い、ずっと使っています。先生や先輩からは「音がよくない。弦高が低くて音が割れる(バス音がする)」と言われていますが、初心者としてはこれで十分と思っています。

実は2年ほど前、成り行きで当地のお店で新しい楽器を買うことになりましたが、弦高が高くて(これが本来の高さらしいのですが)弾きにくいです。でも、先生は「ずっとこのほうがいい」とおっしゃっていました。正直なところ、私には音の違いはよくわかりません……。

結論としては、かなり本気でやる気なら、先生や先輩からアドバイスをもらって、普通の値段(15万円以上?)のものを、「試し」にやってみるくらいだったら5万円程度のものでもいいかな(よい楽器に当たれば、プロになるつもりがない限りずっとそれでいける!)……という感じです。

古琴の弾き方ABC

「古琴の弾き方」と称して自分の動画を上げるまでには、まだ何年も修業が必要なので、YouTubeの動画を紹介します。

日本語で古琴の弾き方を説明しているサイトを見つけました。別のブログにそのサイトのURLを貼ってあります。このサイトはアジアの民族楽器をわかりやすく紹介している、おすすめのサイトです!(20191111)

当ウェブ管理人がやっていること

古琴に少しでも興味を持たれた方は、ぜひこのサイトの「古琴」カテゴリーをご訪問ください。「古琴大好き人間」の考えていること、やっていることを綴っています!

(情報更新20210218)去年1月以来レッスンが中断されていて、もっぱら独習しています。そのモチベーション維持・練習結果のチェックのために、動画を撮ってYouTube上に残しておくことにしました。本当に「個人的な記録」なので、その点ご了承の上、ごらんいただければと思います。

第一回目の下の動画では、まだiPhoneを適切な場所に固定できなかったので音声だけです。次の回からは動く画像も入れて、指の動きをチェックするようにしました。

(続報更新202104)まだ『广陵散』の独習(2020年の10月半ば開始)を続けています。最初に手元にあった楽譜に収録されていた27段分は一応「解明」した(ことにした)ので、別の楽譜を入手して、今は28段以降に挑戦中です。

下の動画が「独習記録動画」最新のもの。「絶望の初見」と二日目、三日目の動画を撮って比較してみました。