本の帯にはこう書かれています。「この本は暗闇に光る灯火だ。戦争で分かたれた人々が、手を取り合って、世界遺産となる植物園を守り、後世に伝えた」シンガポールの外務省のトミー・コー教授による推薦の言葉です。読んでみて、本当にこの言葉通りだと感じました。日本軍によるシンガポール占領から終戦まで、戦火のもとで、一部の日英の科学者たちがいかにして、のちに世界遺産となる植物園と、歴史の遺物を多数所蔵する国立博物館を守ったのかを綴ったドキュメンタリーです。人間は愚かなこともたくさんするけれど、どんな状況下にあっても大切なものを守るために純粋に戦う、すばらしい魂を持った人達もいるのだと知って、救われた気がします。戦争のさなか、シンガポールにいた百歳の友人にこの本を贈ったら、知っている名前や地名がたくさん出てきて、とてもなつかしく読んだ、と喜ばれました。