李白は自分の詩をどう詠んでいたのだろう?という素朴な疑問から、唐の時代の発音が知りたくて、ウェブをサーチしていた時に、写真の右側の『唐代の人は漢詩をどう詠んだか』という、そのものずばりの本を見つけた。「オンデマンド」という新しいやりかたの出版方法をとっている本だった。ソフトカバーでシンプルな装丁だけれど、普通に売っている本と変わりがない。
ところが、シンプルな外観に隠れた内容がすごかった! 「音韻学」という学問を使って、昔の人の発音を再現するという、言葉と歴史が好きな人にはたまらない話題! たとえば、杜甫の有名な詩『春望』の出だし部分、「国破山河在」、書き下し文でいうと「国破れて山河あり」、現代中国語での発音は「guo(2)po(4)shan(1)he(2)zai(4)」が、なんと「クォッ(ク)・プゥワ・シァン・ガア・ジァイ」みたいな発音になる。字で書くと、ちょっと似た発音に見えるかもしれないが、実際は「ウッ」と詰まったり、「ハッ」と強い息と一緒に出したり、唐の時代の人たちの発音はかなり強烈。聴いた感じが福建語や、台湾語に似ているかもしれない。
同じ著者による左の本は、発音だけでなく文字についても詳しく書かれていて、これも非常に興味深い。
奈良や平安の時代の日本語の発音も今のものとはずいぶん違っていたらしい。どんなだったのかな・・・と興味がふくらむ。
(続報)唐の時代の中古漢語で、李白の『関山月』という詩をもとに作られた琴歌(古琴の弾き語りの曲)を歌ったものをYouTubeで見つけました。それに関するブログ(中国語)と動画へのリンクはこちらからどうぞ。(20191101)