古琴曲『阳关三叠』の歌詞試訳

この数日、必死で「謎解き」をしていた。その「謎」は古琴曲『阳关三叠』の歌詞。その日本語訳を試みていた。

出だしの一行のあと、四行は王維の有名な漢詩《送元二使安西》そのままで、日本語訳もたくさんインターネット上にあがっているが、古琴曲のために付け足された部分は日本語訳が見つからない。(現代中国語訳はあるにはあるが、よくわからない。)

古琴でこの曲を練習する時、弾きながら歌うことはできないにしても、心に歌詞を思い浮かべたい。そう思って訳に取り掛かったが、思ったより難解。どうしてもわからないところもある。でも、こればかりやっているとほかのことが何もできないので(マルチタスク苦手!)、ひとまずブログにあげておくことにした。

(上のブログを書いた翌日の追記:「仮訳」をQ先生に見てもらい、訂正を入れていただいたので、一安心(!)。古琴の練習に集中できる。谢谢Q老师!)

諸般の事情から日本への一時帰国もままならない現在、友や家族との別れは他人ごとではない。いくらFaceTimeでおしゃべりできたって、埋められない寂しさはある。

この詩はもっともっと厳しい別れを歌っているのだけれど、最後に、手紙をやりとりすること、そして夢で出会うこと、その二つに希望を託すように訳してみた。悲観主義の私だけれど、どんなときも希望を持てるようになりたいから。

清和节当春。
季節は清和、春の頃
渭城朝雨浥轻尘,
渭城に降る朝の雨が、土埃を湿らせて
客舍青青柳色新。
宿の柳を鮮やかな緑にそめる
劝君更尽一杯酒,
さあきみ、もう一杯、酒を飲み給え
西出阳关无故人。
陽関から西には親しい友もいないのだから

霜夜与霜晨。
夜も寒かろう、朝も寒かろう
遄行,遄行,
急げよ、急げ
长途越渡关津,
関を越え、川を渡るその道は長く
惆怅役此身。
心がなえ、身はやつれる
历苦辛,历苦辛,历历苦辛,
苦しいことが続くだろうが、
宜自珍,宜自珍。
どうか身体を大切にしてくれ

渭城朝雨浥轻尘,客舍青青柳色新。
劝君更尽一杯酒,西出阳关无故人。

依依顾恋不忍离,
名残は尽きず、心残りで離れがたい
泪滴沾巾,
涙で布が濡れている
无复相辅仁。
もう互いに助け合うこともできない
感怀,感怀,
さびしさで胸がいっぱいだ
思君十二时辰。
きみのことをずっと考えるよ
商参各一垠,
ぼくらはまるで離れ離れの星のようだ
谁相因,谁相因,谁可相因,
これから誰を頼りにしたらいいのか、
日驰神,日驰神。
それだけを一心に思う

渭城朝雨浥轻尘,客舍青青柳色新。
劝君更尽一杯酒,西出阳关无故人!

芳草遍如茵。
春の草が一面に生い茂る
旨酒,旨酒,
目の前に並ぶ美酒
未饮心已先醇。
飲まずとも、もう心は酔いしれている
载驰骃,载驰骃,
駿馬に乗り、駆け抜ける
何日言旋轩辚,
いつになったら帰って来るのか、
能酌几多巡!
あと何回一緒に飲めるのか!
千巡有尽,
何度も飲み交わせば酒は尽きるが、
寸衷难泯,
友を思う心は消え難く、
无穷伤感。
悲しみは限り知れない
楚天湘水隔远滨,
湘水に隔てられた渚のように遠い彼方から
期早托鸿鳞。
早く手紙をおくれ
尺素申,尺素申,尺素频申,
そうだ手紙だ、手紙をたくさん書こう、
如相亲,如相亲。
そうすれば会っているのと同じだから
噫!从今一别,
そうさ! 今日離れ離れになっても、
两地相思入梦频,
思い合っていれば、夢の中でいくらでも会える
闻雁来宾。
雁が手紙を運んでくるのを首を長くして待っていよう

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