『増田義一伝』実業之日本社

この本を読む前は、実業之日本社の増田義一さんが、書籍の再販制度の確立に大きな役割を果たした人だということしか知らなかった。

この本はたくさんの新発見と感動を与えてくれた。大隈重信などの歴史的人物と親交があったこと、再販制度だけでなく、日本の出版界に大きな影響を与えた方だったことなど、知らないことばかりだった。歴史にひどくうとい私でも、大隈重信、渋沢栄一、新渡戸稲造といった、増田氏に絶大な信頼を寄せていた名士たちの名前は聞き及んでいる。すごい時代だったのだなぁと思う。

一番感動したのは、増田氏の人となりだ。もちろん、美化されている部分もあるかもしれないから少しは差し引いて受け止めないといけないのだろうが、それにしても立派な人だった。誠実に生きるということはこういうことなのか……と大いに考えさせられた。そして、日本の若者や社会のことを真剣に考え、出版にたずさわっていくこと、生きていくことの大切さを教えられた。

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