「非常に親しい友人」との間柄を表す「知音」という言葉や、そのような友人を失った悲しみを表す「伯牙絶弦(はくがぜつげん)」という言葉の由来となった、春秋時代の故事の中で古琴の名手伯牙が弾いたと言われる曲の一部。当時は『高山』と『流水』という曲が一つになっていたらしい。それが唐の時代に二つの曲に分かれた。そしてさらに清の時代に、ある古琴の大家が『流水』の第五段と第六段の間に一段加えて全部で九段にした。これが今最もよく弾かれているもの。
この、のちに加えられた一段に、右手をグルグル回すような感じで、七本の弦を連続して弾いて水の流れを表す部分が含まれている。とてもむずかしい。なんでこんな弾き方ができるのだ!…でも、私がもっと驚いたのは、伯牙が弾いた曲にはこの部分がなかったということ。彼の古琴を聴いて、親友の鐘子期は、「すばらしい。まるで勢いよく流れる水のようだ」と感激するのだが、現在の第六段なしで、流れる水を表現できた、それを感じ取れたというのは、本当にすごい。
この曲はYoutubeにたくさんあがっていますが、当サイトの古琴についてのページからその一つの音源にリンクできます。