おととい、レコードの入っている棚の掃除をした。ここに越してきてから一度も掃除していないよなぁ…4年くらい経ったかなぁ…と思って、ちょっと記録を確かめたら、8年も経っていた! どういうこと?!
どこか欠け落ちてしまった期間があるこの13年。決して取り戻せないのだけれど、これからは自分を大事にして、愛する人たち、ものごとたちを大事にして生きていけたらなと思う。
掃除には2時間くらいかかって、動画の編集にはその3倍くらいかかった。なんだかなぁ……とも思うけれど、だらだらとしょーもない動画を観続けるよりは、思い出にひたりながら自分の動画を編集していた方がいいか!と思い直す。
というより、暇だけはいくらでもあるのだから(やらなくてはいけないこともいくらでもあるけれど!)、そう自責の念にかられることもないかもしれない。
以下は【自分のための覚書】。
掃除中に見つけたバルバラのレコードを小さなプレーヤーで聴いてみた。すごくいい。一番好きだった『ナントに雨が降る』。久しぶりに歌詞を見ながらじっくり聴いた。それで、きちんと歌詞の意味を知りたいと思ってネットで調べていたら、この歌にまつわるバルバラの壮絶な人生の話を見つけた。
昔はネットがなかったから、このことは知らずに聴いていたのだと思う。ただ、ずっと別れていたお父さんとの最期の別れの歌だと思っていただろう。
バルバラは子供のころ父親から性的虐待を受けていた。
その父親に対する思いはどんな思いだったのだろう。
父親が亡くなってから彼女が作った曲が Nantes だ。
1963年にバルバラが初めてこの曲を公衆の前で歌ったときの動画。
オリジナルの歌詞とレコードジャケットにある歌詞と違っているところもあるような気がするけれど、今のところ、私はこんな感じに解釈している。
ナントに雨が降る
ナントの街に雨が降る
どうか助けて
ナントの空は
私をつらくさせる
いつもと同じある朝
それはちょうど一年前
街は青白く光っていた
駅から出たとき
ナントは見知らぬ街だった
一度も来たことはなかったし
あの知らせがなければ
この旅をすることもなかった
「マダム、どうか面会においでください
グランジュ・オ・ルー通り25番地です
急いでください もう長くはありません
一目お会いしたいと言っています」
最期のそのときに
何年も放浪の旅をつづけたその末に
なんと彼は私のところに戻ってきた
その叫びは静寂を破った
彼がいなくなってから
長い間わたしは彼を待っていた
さまよい 姿を消したあの人を
その彼が今戻ってきた
グランジュ・オ・ルー通り25番地
あの日のことは忘れない
記憶にしっかり刻まれている
廊下の奥のあの部屋でのこと
暖炉のそばに座っていた
4人の男が立ち上がるのが見えた
灯りは冷たく 白く光っていた
男たちは教会へ行くような服を着ていた
私はなにも聞かなかった
そこにいた見知らぬ人たち
私はなにも言わなかったけれど
彼らのまなざしで 遅すぎたとわかった
私は会いに行ったのに
グランジュ・オ・ルー通り25番地に
でも 彼は私に会えなかった
もう死んでいたから
さあ、もうあなたにもわかったでしょう
彼はある晩戻ってきた
そして それが彼の最後の旅だった
そして それが彼の最後の寄る辺だった
彼は死ぬ前に望んだ
私のほほえみで温めてほしいと
でも そう望んだその夜 彼は死んだ
さよならも 愛しているとも言えずに
海沿いの道に面した
墓地に横たわり
やすらかに眠れと祈りながら
私はバラの下に彼を埋めた
父さん…父さん…
ナントの街に雨が降る
そして私は思い出す
ナントの空は
私をつらくする