古琴曲『桃园春晓』

6月に練習を始めた『醉渔唱晚』にまだ手こずっている。ただ「レーミーレ」と弾くだけなのに、ごくはじめのところに出てくる、おそらく舟の櫓をこぐ感じ(?)の繰り返し箇所がうまく弾けない。とても大事な箇所だと思うのに!

で、半分あきらめて、常に課題となっている「既習曲の復習」を始めた。そのうちの一つが、だいぶ前に習った『桃园春晓』。大好きな成公亮老师が打譜・記譜なさったもので練習させていただいた。彼の演奏も大好き。心がやわらぐ。

この曲は、タイトルからも想像されるように、東晋末期の詩人、陶淵明の有名な詩『桃花源記』に描かれた世界を題材としている。詩の内容は――あるとき漁夫が道に迷い、人里離れた村に迷い込んだ。そこには秦の時代に世俗から逃れた人々が、外界との接触を断って平和な日々を送っていた。漁夫は太守に知らせようと、道すがら印をつけながら戻ったが、その村を再び見つけることはできなかった――といった感じ。これがユートピアを表す「桃源郷」という言葉の由来となった。

古琴曲も「泛音」と呼ばれるハーモニックスが多用されていて、静かですがすがしい空気感が満ち溢れている。この曲を成公亮老师の演奏に合わせて練習したら、俗世界の苦しみを忘れられるだろうか?