この曲は『山中思友人』、『空山憶故人』などと呼ばれることもある。なんと、後漢末期の儒家、書家であり古琴の名手であった蔡邕(さいよう)の作という言い伝えがある。そうなると、1800年以上前に作られたことになる! 今一般に弾かれているのは1937年刊行の『今虞琴刊』という本に掲載された楽譜に基づいたもの。
この曲名の中の「故人」という言葉は、日本語のように「亡くなった人」の意味ではなく、長い間会っていない親しい友人という意味。月明りに照らされた山中を歩きまわりながら懐かしい友を思う気持ちが込められている曲だ。大好きな成公亮老师の演奏のものは、当ウェブサイト管理人には深い悲しみに満ちているように聴こえる。動画のサイトはリンクが貼れなかったので、音だけをお聴きください。
管理人は弾いているとどんどん悲しくなるのだけれど、先生に「悲しくなりすぎ」と言われた。そして論語の「乐而不淫 哀而不伤」という言葉を教えられた。「楽しんでも正を失わず、深く憂えても和を害さない」という意味らしい。平穏な心で弾けたらいいな!