古琴を学ぶ者なら一度は耳にしたことがある『碣石調幽蘭第五』。現存する唯一の「文字譜」で、写本が日本の国宝となっていることで有名だ。数週間前、ふと「読んでみよう」と思って、原文をながめているうち、暗号を解読しているみたいでおもしろくなった。その成果をまとめた動画がこれ。
実は、この琴譜は前から気にはなっていたのだけれど、現物をネットで一目見て、「これはわからん!」と、すぐあきらめた。今回、最初の4行だけでも読もうと取り組んだものの、中国語も初心者の域を越えない私にとっては、さながら『解体新書』を読む杉田玄白の心境だった。
昔の中国語で書かれているとは言え、中国語が読める人はすぐにだいたいの意味がわかるのだろうけれど、「一句」という文字以外は、区切りがなくて、私にとっては、まずその区切りを見つけるまでが大変だった。
その後、「暗号解読」を続け、その作業が行き詰ったところで、すばらしい研究書(山寺美紀子著 国宝『碣石調幽蘭第五』の研究)を見つけた。さっそくAmazonで入手。そこには「解答」が満載だった! まだまだ研究の必要・余地があると著者の方も書かれていたけれど、ここまで研究なさったことに、ただただ敬服する。
作業が一区切りついたところで、管平湖老師が打譜された減字譜と音源を参考に、弾くことも試みたが、やはりムリ~! そもそも技術がないことに加えて、現在では使われていない複雑な技法もあったりして、ほぼ不可能! この曲が弾けるようになる日は今世では来ないだろうとの結論を得た。
この動画を観てみようかなと思っていらっしゃる方のために、最後に断っておくと、ご想像の通り、この譜の解釈には諸説ある。だから、この動画で紹介した解釈もあくまでも「定説の一つ」と考えていただきたい。
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