【動画付き】ある日の古琴の夜練

二年近く続いている古琴自習生活、時には疲れて、気持ちがどこかに置いてきぼりになっていることがある。そんなある日、前に見つけた浦上玉堂さんの琴譜のことを思い出し、今日はこれを弾いてみよう……と思った。

『越天楽』の旋律に歌詞を付けた「越天楽今様」と呼ばれる歌のたぐいらしいが(推測。もっと研究調査必要)、その琴譜が国立図書館のデジタルコレクションというサイトからダウンロードできた。歌詞もついていたので、いつものひょろひょろ声で歌ってしまった。楽しければなんでも大成功!……としておこう。

弾き方は完全に自己流だし、きちんと習っていない符号も出てきたので、ほかの曲からの類推で弾いた。いつか、先生に譜を見せて、きちんとした弾き方を習いたい。

 

古琴日誌 (4) ファン・ヒューリックと古琴

昨日は「一日に何曲弾けるか」という、あまり意味のない挑戦をしてみた。意味はないにしても、練習のモチベーション維持、マンネリ化防止、どんどん忘れていくことに対する危機感の喚起などの一応の口実はある。

調律は正調のまま、一応「難易度 低→高」のつもりで始めた。

『仙翁操』いつも思う。基本曲でさえきちんと弾けないのはなぜか?
『湘妃怨』弾き語りはできなかった。いつかきっと!
『酒狂』少しスムーズに弾けてよかった。
『关山月』豊かな旋律のところがどうしても「ぶつ切れ」になる。
『韦编三绝』やはり忘れかけていた。何度も練習。
『归去来辞』いい曲だなあと思う。一部記憶が混乱。
『神人畅』前半と後半の低音部が入り混じる。記憶あいまい。
『鸥鹭忘机』忘机ならぬ忘曲。全然だめ!
『平沙落雁』意外にも上の曲よりも覚えていたが、最後部だめ。

教則本の順番で行くと次に習ったのは『普安咒』だったが、これはまったく覚えていなくて、今の眼の状態では楽譜が見えず、練習すら無理だったので、正調の既習曲としては教則本最後に飛ぶことにした。このあたりでかなり疲労困憊。

『龙翔操』最近復習した曲だが記憶があいまいな箇所が頻出。
『梧叶舞秋风』少しずつ苦手意識を克服しつつある曲。でも「ぶつ切れ」。

以上11曲弾いたところで、「ギブ・アップ」。だいたいの曲は一回通して弾くだけ、あるいはそれプラス、できなかったところを2,3回練習……という程度だったが、かなり疲れた!

で、疲労回復のためにお茶を飲みながら、ウエブでファン・ヒューリックさんのことを調べた。

ヒューリックさんは1938年から駐日オランダ公使館書記官として来日、そして戦後再来日、ディー判事を主人公とする推理小説を次々発表、1965年には駐日オランダ大使として再々来日、二年後に病気のために帰国後亡くなった。

ウィキペディアによる紹介では、彼は外交官、東洋学者、推理小説家となっているが、私がはじめてその名前を知ったのは、日本における古琴「復活」に大いに貢献した人としてだった。それと同時に推理小説も書いていると聞いて、早速手に入れて読んでみた。

読んだのはかなり前なので、内容は覚えていないが、当時、興味を覚えていろいろ調べてみた。そして、この本の挿絵まで自分で描いていることとか、多言語をマスターしていたこと、江戸川乱歩とも交流があったといったことを知って、多芸多才、マルチ人間ぶりに感動した。ある意味、本当の「文人」だったのだろうと思う。

古琴を通じて、いろいろなことを学んだり、感じたりすることができる。これは古琴の大きな魅力の一つだと思う。

 

 

【動画付き】ある日の古琴の午後練

昨日の午後、基礎練習の様子をビデオに撮ってみた。レッスンをとっていた頃は、先生のお手本動画をいつも撮っていたけれど、自分が弾いているのを録音したり、ビデオに撮ったりしたことがなかった。

レッスンがとれなくなってから、それをやり始めてビックリした。あまりに音が悪くて、手の形が汚い。先生からはあまり注意されなかったのだけれど、2年近い自習の間に変な癖がついてしまったのか? あるいはもともとそうだったのか(たぶんこっち)!

それに、新曲の独学をやってみて、減字譜をまともに読めないことにも気が付いた。そこで、昨日は減字譜の(中国語の)読み方を確認しながら練習した。

練習事項が盛りだくさんで、あっという間に時間が経って、基礎練習だけで午後錬が終わってしまった。

 

古琴日誌 (3) 夏目漱石と古琴

昨夜観た動画に気になるものがあって、今朝起きてすぐから、ずっとそれにかかりきりになっていた。気が付いたら正午。午前中の練習をすっぽかしてしまった。その動画に関する「調査・研究」ははかどったが、練習は完全に出遅れた。

そして、やっと午後2時過ぎになって『广陵散』の通し練習開始した。そういえば、昨日、この曲を練習していなかった。気を引き締めて弾こうとしたが、忘れている箇所がいくつもあり、楽譜を確かめながら一度弾いただけで、疲労困憊、要休憩。

そのあと、『仙翁操』を丁寧に弾く練習をした。減字譜もまじめに読んでみた。何年も弾いているのにまだまともに読めない。それから、最近始めた『湘妃怨』の弾き語り練習。譜面に歌詞を書き込んだ。でも、老眼でよく見えない……。読めるところだけ歌って、「弾き語り気分」を味わうだけに終わった。

夜の練習で『流水』の復習を始めた。2年くらい前、古琴の「考級試験」の課題として選んだ2曲のうちの一曲。今思い出しても恥ずかしい「撃沈の曲」だ。出だしを何度か間違えたところで、先生から「好」と言って止められた。つまり、右手をぐるぐるかき回すように弾く特徴的な部分まで行きつくことすらできなかった……。試験結果は「及第」ではあったけれど、ぎりぎり。反省!

今日、ふと思い出したのは、夏目漱石と古琴の話。確か陶淵明の逸話にある「無弦琴」にまつわる縁だった……というところまで思い出したが、それ以上の記憶がなく、ウェブを検索した。

あった! 明月和尚(1727-1797)という人(名筆として有名だったらしい)が書いた「無弦(絃)琴」という書。漱石は世俗を超えた境地を意味するこの言葉を気に入り、自宅の「漱石山房」に掲げていたそうだ。それに、『吾輩は猫である』中の「無絃の素琴(そきん)を弾じ」という文章を始め、古琴は作品にいくつか登場するらしい。遠い昔、漱石を読んだときには、まったく気にも留めなかった一文。たぶん今読んだら、「わぁ、陶淵明の無弦琴だ!」と感激しただろう。

写真に著作権があると思うので、参考ウェブサイトのリンクのみ:https://www.kanaloco.jp/news/culture/entry-72925.html

【動画付き】ある日の古琴の朝練

苦手なのだけれど、自習に欠かせないビデオ撮り。指の使い方がめちゃくちゃなこと、すごく乱暴に弾いていること、音が汚いこと等々、欠点が次々露呈する。深く反省。 特に、この日は独学した難曲『广陵散』をいきなり練習したので、反省点が多い。

撮影に伴う緊張と「ともかく最後まで弾かなくては」というあせり、そして技術と精神の不足がこんな結果を生む。この曲を練習するには、少なくとも10年早かった……と後悔。

しかし、古琴に向かっていると楽しい。下手でもなんでも、真摯に向き合っていると古琴が何かを教えてくれる。

明日は基礎練から練習を始めよう。

古琴日誌 (2) 古筝悦人、古琴悦己

中国ではよく、「古筝悦人、古琴悦己」(筝は他人をよろこばせるもの、古琴は自分をよろこばせるもの)と言われるのだそう。なるほど。本当にそうだなぁ……と思う。今日もまた「独坐弹琴」。

最近は10時半くらいに午前中の練習を開始することが多いのだけれど、今日はいろいろ用事をしていたら、あっという間に11時になった。

まずは、昨日管老師の音源と一緒に練習して、またまた未熟さを思い知らされた『广陵散』の「通し弾き」。夜の練習でこの大曲を弾くのは気力・体力的につらいから、朝元気なうちに!

それでもやはり、途中で集中力が切れた。切れると、今自分がどこを弾いているかわからなくなる。楽譜を見なおしたりしていて、あっという間に45分経った。今朝は頭痛がひどくて、それ以上は無理。ランチに突入。

午後は仕切り直しをして、指慣らしのためにまず『仙人操』をゆっくりと弾く。次は、日本の秋をなつかしんで、苦手な『梧叶舞秋风』。なんとか暗譜で弾けるようになった!

そのあと、この冬が終わるまでに、気持ちよく弾けるようになりたい『梅花三弄』。コロナのせいで世界中がずっと冬ごもりしている感じだから、「早く春が来ますように!」と祈りながら弾いた。

次に、昨日から復習を始めた『渔樵问答』。まだ出だしのところしか思い出せない! 漁師と樵(きこり)が、自然の中でせっせと仕事に励み、時にはのんびりと休みをとったり、問答や思索をたのしむ……中国の古人の一つの理想の生き方だったという話を先生から聞いた記憶がある。都会が大好きな私にはちょっと無理な生活だけれど、いまふと、「大自然の中で古琴を弾いたら、どんな音がするのだろう」と思った。

夜も『渔樵问答』。でも、始めるのがかなり遅くなったから、あまり練習できなかった。古琴は音が小さいから、大丈夫とは思うけれど、隣人たちに迷惑はかけたくない。

古琴日誌 (1) 浦上玉堂の言葉

今日は午前中に、まず基礎練習として『仙翁操』。挑と勾を繰り返し練習するが、挑を弾く時の「竜の目」と「鳳凰の目」がきちんと作れない。勾を弾く時の問題は、注意していないと、弾いた後、第一関節が反り返ってしまうこと。

次に『神人畅』の復習。泛音がきれいに弾けない。神様の語りかけの部分なのに! 一方、人間が反応する部分はなかなか覚えられなくて、表現について考えるまでにいたらない。

それから、日課の『广陵散』。やはり毎日弾かないと忘れるし、毎日「あれ? ここどうだったけ?」と思う部分が出てくるので、弾かないわけにはいかない。今日は、いつもいつもひっかかる第19段の初めのあたり。管老師の楽譜で指使いを確認して、楽譜に書き込んだ。

午後の練習は、好きな『酒狂』から始めた。この曲の難関は中盤の低音部。どうしてもスムーズに弾ききることができない。今日も何度も同じ部分を練習。そのあと、好きなくせに下手くそな『梧叶舞秋风』。これも泛音続出の曲。きれいに弾けたらとても気持ちのいい曲なんだがなぁ……。今の季節はこれでしょ!

夜は数日前から復習に取り掛かった『梅花三弄』。これも泛音がとても大事な役割をしている曲。でも、今日は全曲を思い出すところまでで精いっぱい。それと、跪という指使いでひっかかる。左手薬指の爪のすぐ下あたりを使って弦を押さえるので、痛い。皮膚が固くなると楽になるのだが!

明日もこのうち何曲かを練習する予定。浦上玉堂先生は、琴は一曲だけ学ぶべしとおっしゃっていたが、凡人の練習生はなかなかそうはいかない。

学琴は一曲に止むべし、多曲を貪るなかれ、唯一曲を愛した古人は衆い、高き志があれば一曲にして足る(玉堂)

(続報)上記の浦上先生の言葉の出典が分かった。『玉堂琴譜』

お勧め古琴入門動画 Videos for Guqin beginners

★このブログは書きかけです。それぞれの動画の内容を紹介する文を、少しずつ付け加えていきたいと思っています。This blog is under construction. I am planning to add introduction to the content of each videos.

★他人の動画をブログ等にはめ込むことについては、ウェブ情報で「本来の作者を明記する。ただリンクを貼るだけでなく、独自の内容を加える」という二点がクリアされていれば問題ないことを確認しました。The copy right of these videos belong to the author of the videos and I am just adding explanation.

①一番のお勧めは無弦堂の李程さんの動画。当ウェブ管理人は中国語が未熟で、ほとんど聞き取れないが、字幕がついているのでだいたいの意味はわかる。黒板を使って、とてもわかりやすく説明してくださっているので、この動画を観ながら練習すると「納得!」と思うことが多い。古琴を独学で始めようと思っている人にぜひお勧めしたい。The teacher is Li Cheng (李程)from Wu Xian Tang (無弦堂)whose explanation and demonstration in these videos, I think, are really helpful to Guqin beginners.

ただ、現在YouTubeにアップされていて、ここでリンクできるのは下記、1、2、8課のみです。bilibiliという中国の動画サイトには全部あるようですが、リンクができません。興味がおありの方は検索してみてください。(以前は全部YouTubeにアップされていたので、また見つかったらリンクします。)

1.ゼロから始める古琴(一)Start Guqin from scratch (1)
古琴ってどんな楽器? 起源、古琴にまつわる神話・逸話、歴史など。

2.ゼロから始める古琴(二)Start Guqin from scratch (2)
古琴の構造。7本の弦はドレミで言うとどの音?

3.ゼロから始める古琴(三)Start Guqin from scratch (3)
散音(開放弦)で、挑と抹(人差し指)の練習

4.ゼロから始める古琴(四)Start Guqin from scratch (4)
散音(開放弦)で、勾、剔(中指)の練習
打、摘 (薬指)の練習
托、擘(親指)の練習

5.ゼロから始める古琴(五)Start Guqin from scratch (5)
勾挑、历、撮、反撮
指使いの組み合わせ、二弦一緒に弾く

6.ゼロから始める古琴(六)Start Guqin from scratch (6)
轮(三本指連続)、半轮(ニ本指)、
双弹、半扶(二本指同時)、全扶(二本指で四回)
泼、剌(四本指同時)
滚、弗(指一本で連続)

7.ゼロから始める古琴(七)Start Guqin from scratch (7)
泛音(ハーモニクス)(左手親指、人差し指、中指、薬指)

8. ゼロから始める古琴(八)Start Guqin from scratch (8)
泛音を使った調弦の方法。

9.ゼロから始める古琴(九)Start Guqin from scratch (9)
按音(左手指で弦を押さえる)親指、薬指、中指、薬指曲げて(高音部)

10.ゼロから始める古琴(十)Start Guqin from scratch (10)
滑音(左指滑らせる)绰、注(上向き、下向き)

11. ゼロから始める古琴(十一)Start Guqin from scratch (11)
左指組み合わせ 上、下 进(上へ)、退(下へ)、复(もとに戻す)

12. ゼロから始める古琴(十二)Start Guqin from scratch (12)
左手指そのほか 撞(上下すばやく)
搯起(薬指で押さえて左親指で弾く)
抓起(親指)带起(薬指)
罨(左手指で叩くように)、逗(すごく短い撞?)

13. ゼロから始める古琴(入門曲)《仙翁操》Start Guqin from scratch (Xian weng cao)
多くの初学者が最初に学ぶ曲。The first song for beginners to learn.

②二つ目のお勧めも、上記と同じチャンネル(lokyee 90)に集められている真朴书院の初級レッスン動画。これも中国語ですが、いろいろな角度から手元を写しているので、言葉がわからなくても大丈夫。「悪い弾き方例」をやってみせたときには画面に×印が出るのがありがたい。

上記動画は第一回目のレッスンです。全部で20課以上あります。基礎が終わったところで習う練習曲がドラマ三国志演義の主題曲らしくて(中国語で説明されているので、今一つ確信がありません)、古典曲と違って新鮮。

コメントを読むと、このシリーズで古琴を独学している方もたくさんいらっしゃるようです。

 

 

古琴どう練習したらいい?

ただ楽しく弾いていればいい。それはわかっている。つっかえようが、下手くそだろうが、弾くことに没頭できて、弾いたあと「ああ、弾いてよかった」と思えたら、それでいい。(あと、楽器と曲、先人たちへの敬意を忘れずに!)

でも、時々思う。もう少し、ほんの少しでいいから「いい音」で弾きたい、「ああ、気持ちがいいと感じられる音」で弾きたいと。たとえ独習でも、一音一音ていねいに練習することで、それに近づくことができるのだろうか?

実は、昨日は古琴の『广陵散』の練習を休んでみた。以前は一日休むともうボロボロだった。今はどうか?……そのための「実験」だった。今、一度通して弾いてみた。前半と後半の最後の最後で、頭が真白になって、楽譜を見た。

でも、それ以外は意外にも覚えていて、これなら、通し練習は一日おきで、部分練習をその間にはさむという方法でいけるかもしれないと思った。これまでは忘れるのがこわくて、毎日通し練習していた。そして、その30分で疲れ切って、部分練習をほとんどしていない。

これからは、もっと部分練習に力を入れようと思う。それから基礎練習。正調以外の調で調律していると、教則本にある基礎練習ができない。そこをなんとかできないか?! その調律のまま弾ける曲で、一番基本的な曲をていねいに弾くというのはどうだろう?

いろいろ暗中模索の続く古琴独習の道。楽しくてたまらない♪

『广陵散』独習一年の記念動画

今日は記念すべき日。ちょうど一年前の今日、『广陵散』の独習を始めた。

それで、数日前から「一年間でどこまで弾けるようになったか」を記録する動画を撮りたいと思って準備していた。これまで一度も通してつっかえずに弾けたことがなかったので、毎日一回動画に撮って、一番できのいいのを残そうと思っていたのだ。その結果、案の定、数日前に最初に撮ったものが、「まあマシなでき」で、それ以降のものはだいたいがぐじゃぐじゃ。破棄した。

 

これも後半でまったく手が止まった個所や、あちこちでつっかえているので、その部分はカットしたあとの動画。なにはともあれ、記念として残しておく。

今後の課題は、もっとていねいに練習をすること、そして、先生を探すこと!

一年前には、一部でも弾けるようになるとは思っていなかった曲だから、このクオリティーでも弾けたことがうれしい。本当はそんなことではいけないのだけれど! まったく間違ったやりかたで弾いているのではないかという不安は常に持っている。でも、これが今の自分にできる精いっぱい。

さあ、今日もこれから練習!